非破壊検査(X線CTスキャン)による製品の内部欠陥解析
30/05/2018
清野 浩
マネージングディレクター
前回に鋳造解析シミュレーションソフトウェアの活用で鋳造品の品質リスクとして内部欠陥箇所を予測することができるお話をしました。
では実際の鋳造後には本当にそうなっているのでしょうか。確認しようにも外からは見えません。鋳造品を切断してみないとわからないのですが、たまたま切断面に欠陥がないだけの場合もありますし、切断する刃と同じ幅の欠陥が切断面にありきれいにカットされてなくなっているだけの可能性もあります。
工業用X線CT検査装置は病院のそれと原理は全く同じです。工業用のCT検査装置では機器が回るのでななくターンテーブルに載せた鋳造品のほうが回ります。最近のCTスキャン画像ではフィルタリングでノイズを除去するなどソフトウェア技術の発展がめざましく、非常に鮮明に内部欠陥の分布を切断せずに確認できます。これらの装置は非破壊検査装置(Non-Destructive Testing Machine)と呼ばれています。
鋳造業界は装置販売の主要マーケットとなっており、鋳造品の品質保証はもちろん、量産前の鋳造トライアルの後にX線やCT検査を通して内部検査結果の確認を行い問題があればすぐに対策を施します。弊社ではX線CT検査装置もお客様にご紹介しております。
CTスキャンによるデータは実は非常に活用範囲が広く、内部欠陥検査にとどまらず、製品まるごとスキャンした場合にはその3D形状データも非接触三次元測定と同様に寸法測定に活用できます。深い穴がある鋳造品などは非接触スキャナやカメラでは見れない、つまりデータとして3Dスキャン取得不可能な場合でもCTなら可能です。
その他にも製品アセンブリ後の部品配置、欠品、断線等の検査や選別で利用することも可能です。X線CT検査装置は非常に高価な印象がありますが必要な時には非接触測定同様にケースバイケースでCTスキャンサービスをご提供しています。
いつでもご相談ください。
図:CTスキャン後にソフトウェアで内部欠陥の自動検出。色は欠陥の大きさを表している。