弊社ではお客様が鋳造業様中心ということもあり2012年から鋳造シミュレーションソフトウェアも取り扱うことになりました。ADSTEFANというソフトウェアは具体的には三次元CADモデルと鋳造条件から鋳型内への溶融金属の流入状況(湯流れ)や凝固過程をシミュレーションし三次元で視覚的に表現をする解析ソフトウェアです。
PC上でのシミュレーションにより実際の製造前に内部欠陥等の不良箇所の予測が可能です。内部欠陥とは空気を巻き込んでしまうブローホールや鋳巣(アルミ等の金属は凝固時に収縮するため最後に固まる部分に空洞ができる。鋳造用語では巣といいます)などを指します。
ADSTEFANは日本では多くの鋳造業で利用されている有名なシミュレーションソフトウェアで、今後導入が見込まれる東南アジアでの販売やサポートに協力させて頂いております。この活動を通じて感じたことは測定検査サービスにも共通して言えることなのですが、問題があった場合にはお客様の困った顔を見ながら仕事が終わることです。シミュレーションの場合では結果が悪かった場合、すなわち欠陥が予想されることがわかった場合です。シミュレーションソフトウェアでは基本的に材料物性値や鋳造条件、境界条件を設定して、その場合での鋳造結果を出すものなので逆はありません。
よくお客様からどうすれば改善できるのかとご質問されますが、改善立案できない旨をご説明すると、それではそのソフトウェアはソリューションではないですねと言われたことがありました。今ではお客様の問題解決まで助けになれるように鋳造経験豊富なコンサルタントと共に鋳造方案設計や製造不良対策を実施させて頂いております。
シミュレーションを活用する上で、こういう条件ならこうなるというだけでなく、理論として解析結果の理解、鋳造条件のパラメータ設定以外の対策など鋳造解析シミュレーションソフトウェア導入からさらに範囲を広げてサポートしています。
図:湯流れシミュレーション結果。図中の右側には溶湯の到達が遅いことがわかる。実際にはアニメーションで流れを再現できる