高性能濾過装置「フィルスター」を販売するインダストリア タイランドの後藤氏と、同社のアドバイザーを務め、日本とタイ、アジアを結ぶクロスロード・キャピタル(株)代表取締役社長である辻氏との対談の後編をお届け。
今回は、インダストリアタイランドの転機となった出来事についてお話いただきました。
◆これまで、辻さんがインダストリア様のアドバイザーとして活動されてきた中で、印象に残っていることはございますか?
辻:某大手自動車会社から受注をいただいた時のことですね。お話をいただいてすぐ後藤さんと侃々諤々の議論をし、“肝”となる提案書について徹底してレクチャーいたしました。
というのも、多くの企業様は自社製品の特長を伝えることに長けていますが、それに特化し過ぎる嫌いがあります。ですが、お客様にとっては製品を導入してからがスタートです。製品の特長のみならず「導入後、中長期的に見るとどうなるのか?」といった、シミュレーションに基づく数値データが非常に重要です。
お客様が求める、根拠のある数字、しっかりと作り込まれた資料があると印象が違います!
◆確かに数字的根拠があると、説得力がありますよね。
辻:言葉にすると簡単に聞こえますが、実際に作るとなると骨の折れる作業です。
先程、申し上げたことを後藤さんにお伝えすると、5年後10年後のまでのコストメリットも盛り込むなど、細部にいたるまでお客様の目線で提案書を作成いただきました。相当な時間を要したと思いますが、そういった「クライアント・ファースト」の姿勢が素晴らしく、アドバイザーとして非常に嬉しかったことを思い出します。
後藤:ありがとうございます。確かに時間はかかりましたが、当日にトップの方から技術部門の方まで、日本人全員にご出席いただき、結果的に良いお返事をいただくことが出来ました。そして、3年目にして一応の結果が出て、本社社長から「ありがとう」という言葉をもらいました。報われた思いでしたね。
すべて辻さんのアドバイスがあってこそです。
辻:ありがとうございます。その話を伺った時は、私も胸が熱くなりました。
◆これまでの苦労を知っているからこそ、心にしみますよね。
後藤:話は変わりますが、辻さんにはタイ・サブコン協会(タイ下請振興協会)もご紹介いただいきまして。そのおかげで、インダストリアは日系企業で初めてタイ サブコン協会の会員企業になりました!
現在は弊社のタイ人スタッフが代表してやり取りしています。
辻:サブコン協会は中小企業のオーナーが中心となる組織ですが、マッチングの意味合いも兼ねて紹介させていただきました。
タイ人スタッフがいると関係も築きやすいですし、会社を代表してそういった場所に出向くことは彼らのモチベーションにもなりますよね。
協会の会員企業は、まだまだ規模が小さくプライオリティは低いかもしれません。ですが、今後、取引先もしくは協業先となる可能性は低くはないでしょう。製造業だけではなく、食品業界などの会社も会員になっています。
◆確かに、今後タイの市場で生き抜いていくためには、ローカル企業とのつながり、交流も大切だと感じます。今のうちに“種を蒔く”というのは賢明なのではないでしょうか。
それにしても、“アドバイザー”としての辻さんの功績は素晴らしいですね。
後藤:辻さんにはトータルアドバイザーのようにもなっていただいて本当に感謝しています。優秀な通訳の方のご紹介など、タイでの困りごとを何から何まで対応いただいて。
辻:都合の良い雑用みたいになっていますね(笑)
一同:(笑)
後藤:もう、辻さんに足を向けて寝られません。
◆辻さん、後藤さん、本日はインタビューのご協力をいただきありがとうございました。
*¹タイ・サブコン協会(タイ王国下請産業振興協会Thai Subcontracting Promotion Association)http://www.thaisubcon.com/SubconEng/news.aspx
自動車、電気、機械分野の構成部品メーカーからなる「下請振興クラブ (Subcontracting Promotion Club)」を母体とし、1999年に設立された業界団体。
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