機電総合商社「SCマシネックス アジア」はグループが持つグローバルなネットワークや、蓄積された知見・ノウハウを存分に活かし、製造業が集積するタイの地で日系企業の工場進出をサポート。住友商事グループという安心と信頼性はもちろんのこと、その高い評価の背後には設立20余年を数えるタイ資本の提携企業の存在が欠かせない。本稿では、SCマシネックス アジアの「ワンストップサービス」を補完するビジネスパートナーを紹介する。
日本での就労経験があり日本語も堪能なManaging Director(MD)のスポール・スッオーン氏(73)が、工場・プラント設営等の総合コンサルタント企業「PEC Engineering & Consultant 1998 Co., Ltd.」を起こしたのは1998年。日系企業のタイ進出が本格的に始動したころだった。
大手日系合成繊維工場で作業者からマネジャーへ昇進し、日本での技術研修や通算17年間に及ぶエンジニア経験をしたスッオーン氏。大型設備の運搬・据付けの相談を積極的に請け負おうと創業し、当初はコンサルタントとして休日に各企業の生産設備・工程にある問題解決に取り組んだ。顧客を満足させ、信頼関係を構築するために自分が何かできるか。無料で相談にのり、知識と経験を積んだ。
5年をかけてあらゆる工場からの相談を負い、丁寧で質の高い仕事ぶりが評価されると、日系企業の工場やプラント建設の相談を請け負うまでになり、名だたる日系鉄鋼メーカーや素材企業からも受注を重ねていった。ピークを迎えた日系企業のタイ進出を足元で支えた一社。特殊な大型設備の搬送・据付といったジャンルにも挑戦した。
社内で溶接技術や加工技術も持ち、製缶品、乾燥機、組立ラインのように大型で高い精度を要求される加工に多くの実績がある上、機械の据付・移設、生産・維持管理など工業生産に関わるさまざまなサービスを手掛けている。社名にエンジニアリングとコンサルタントの両方を表記している意味がよく分かる。
SCマシネックス アジアとの協業において、鉄鋼・非鉄業向けの生産ラインで使用する製缶品、築炉、オーバーホール、現地メンテナンスなどを行っており、「事実上のワンストップサービス体制の構築が、両社が協業していることの最大のシナジー効果で、顧客と信頼関係を築くことができた」とスポールMDは解説する。
スポールMDが一代で起こしたタイ企業ではあるものの、すでに2代目として後を受け継ぐ人材は育っている。長男で現スーパーバイザーを務めるパン・スッオーン氏(40)だ。
毎晩遅くまで仕事に励む父親の背中を見て育った。遊び場だった父の職場は、いつしか自身のビジネスの現場に。同様に日本への留学経験もあり、日本のモノづくりの神髄も理解する。会社紹介を尋ねて真っ先に出たのが、父同様の「機械の据付などといった限られた仕事だけでなく、機械や電気関連なども含めたあらゆるサービスを提供したい」という言葉だった。
そのスポール氏。密かに76歳の誕生日を機にペーン氏ら息子たちに事業を委ね、自らは引退する青写真を描いている。モノづくりに携わって半世紀。固く肉厚となったエンジニアの両手は、最後の3年間でどんな奥義を見せてくれるのであろうか。
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三中西 Sannakanishi
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