
当社は、各種の工業計測機器の開発・製造・販売を行ない、日本国内外のお客様より高い評価を頂戴しています。
タイには2018年に駐在員事務所を開設しました。
本稿では、日本における当社製品の導入事例として、東京メトロの「車両状態監視装置(電車の走行安全性を計測・監視する装置)」をご紹介します。
東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)の技術開発担当部長・谷本 益久(ますひさ)氏に詳しく語っていただきました。
―東京メトロでは、どのような計測をしていらっしゃるのでしょうか?
谷本:電車は曲線通過中に外側のレールで車輪フランジとレールが接触し、レールにせん断応力が発生します。
このせん断応力をひずみゲージと動ひずみ測定器で測定しています。
具体的には、電車が曲線通過中にレールに発生する横方向の力(横圧:Q)をQゲージで、車両重量などの縦方向の力(輪重:P)をPゲージで計測し、その電車の走行安全性を評価しています。
レールに発生する横圧や輪重は、お客様の乗降や電車の速度、車輪とレール間の摩擦状態などにより、刻々と変化しています。
その車輪とレール間に発生する力の状態を、「車両状態監視装置」で常時監視しています。
―電車の走行安全性を高めるための計測・監視ということですね。
谷本:そうです。新型車両の開発や日々の保守点検などで走行安全性は確保されていますが、車両状態監視装置で毎日、常時計測・監視することで、さらに車両の走行安全性を高めることができます。
A&Dさんの技術力を信頼して、測定器を採用しています。
―以前から、このような取り組みをされていたのでしょうか?
谷本:以前から行なっていますが、技術の進歩に合わせて、より高精度な計測・監視へと進化させてきました。
車輪とレール間の摩擦の監視から始めましたが、A&Dさんの動ひずみ測定器を30年くらい前から使用しています。
初期は、プラスチックケースにパソコンと計測機器を詰め込んだ簡易システムで計測を行なっていました。
その頃は、簡易システムの記憶媒体にデータが満杯になるたびに軌道内に取りに行き、解析を続けていました(笑)。
―現状はいかがでしょうか?
谷本:その後、車輪とレール間の摩擦状態を監視する技術の構築と動ひずみ測定器の小型化により、現在の車両状態監視装置が完成しました。
車両状態監視装置は、東京メトロの全路線に設置され、営業運転中の全ての車両の走行状態をモニタリングしています。
そして、従来は計測・監視が困難だった車輪とレール間の摩擦状態や力の状態を、常に評価できる体制を整えました。
―計測したデータは、どのようなことに活用されているのでしょうか?
谷本:測定架を通過した車両のデータをリアルタイムに収集し、サーバに蓄積しています。
これらの膨大なデータは、日々の安全運行のためだけではなく、次世代の車両開発のために活用しています。
【工業計測機器】シングルコンディショナ
(左)動力線、強電機器などによる同相電圧や各種制御ノイズの影響を低減し、極めてSN比の高い優れた出力を得ることが可能な「ストレンアンプ AS1803R」
(中央)信頼性と安全性を高めるアイソレーションアンプ「直流アンプ ALシリーズ」
(右)広帯域の信号入力を可能にした、積分器内蔵の「チャージアンプ AG3103」
【データアクイジション装置】
オムニエースRA2300MKⅡ(HDDモデル)/RA2300MKⅡ-S(SSDモデル)
■“誰でも現場ですぐ測定”を可能にした簡単&親切な操作性
■Ethernet、USBポート標準装備
■長時間SSDレコーディング:約8.7日
■RA2300MKⅡ-S:100μSサンプル、16ch
■電圧・温度・ひずみ・振動・周波数(パルス)などの
各種信号を直接入力可能な11種類のアンプを用意
タイで工業計測機器(電子計測機器)や車両状態監視装置、データアクイジション装置に関心をお持ちの方は、下記フォームよりお問い合わせください。
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