「それぞれの良い部分を掛け合わせてより良いソリューションをつくればいい」
メーカーの垣根を越えた新たな取組みが、目下タイを起点に始動している。
発起人となったのはタイで測定器や工具、周辺機器の製作・販売などを手掛ける商社、アルファツール・アジアの渡邊社長。同社で取り扱っているISSOKU(第一測範製作所)に加えて、イギリスの測定器メーカー ソーラトロンメトロロジー(Solartron Metrology)製品の取り扱いを開始する。2つのメーカーのコラボレーションによってどのようなメリットがもたらされるのか?3社に話を伺った。
ISSOKU電気マイクロメータの領域を強化!
ソーラトロンメトロロジーの幅広い検出器ラインナップ
ISSOKU (THAILAND) CO., LTD.は(株)第一測範製作所のタイ現地法人として、ゲージ・計測機器・マイクロメータ・ボールねじなどを提供している。空気マイクロ・電気マイクロどちらも取り扱っているものの、空気マイクロのイメージが先行し、電気マイクロの存在感が薄れがちだったという。そんな状況を打破すべく、ISSOKUが持ち合わせていない、豊富なラインアップの検出器を揃えるソーラトロンメトロロジーに白羽の矢が立った。
ソーラトロンメトロロジーはイギリスで創業した電気マイクロ関連製品を主体とした測定器メーカーである。全ての製品を本社イギリスの自社工場で製造しており、1番の強みはその豊富なラインアップと幅広いカスタマイズ性・汎用性の高さにある。
今回渡邊社長が注目したのは、ソーラトロンメトロロジーの電気マイクロメータ用検出器。
最短0.5mm~最長30.0mmまでの幅広い種類を揃え、そのラインアップの豊富さは、日系メーカーはもとより世界的にも最大規模と言われている。
▲ソーラトロンメトロロジー製電気マイクロメータ用検出器 一部
精密測定の選択肢を広げたい…Smp電気マイクロメータの活用メリット
欧州メーカーでは一般的な測定でよく使用される電気マイクロメータ。日系企業にも、もっとその活用認知を広げるべく、今回コラボソリューションの一例として、ISSOKU製デジタル表示器『Smp(エス・エム・ピー)』 とソーラトロンメトロロジー製 検出器を組み合わせた計測装置を展開した。「Smp=エアマイクロ向け」のイメージを持つ方が多いが、電気マイクロメータ向けにも活用が可能なのである。
▲ISSOKU製Smpと ソーラトロンメトロロジー製検出器を組み合わせた計測装置
Smp電気マイクロメータ 活用メリット
空気の漏れ量を電気変換して数値化するエアマイクロに対して、検出器に電気を流して電圧の変位量を直接計測するので誤差が発生しにくい。
✓ 合否判定および最大16のクラス分け設定も可能
✓ 使う場所を選ばず、省スペース
装置が小型なので狭い範囲(コンパクトな治具など)で小回りが利く。
✓ 1つのマスターで様々な計測に応用が利き、コスト低減
1つの計測物に対してそれぞれ測定具とマスターが必要なエアマイクロに対して、電気マイクロはマスター1つで様々な物の計測が可能。また、圧縮エアなども不要なので環境に優しく低コスト。
今回の取組みでお互いの長所を伸ばし短所を補い合うことが叶ったことで、提案の幅が広がったと話すISSOKU坂田氏とソーラトロンメトロロジー田中氏。
電気マイクロの可能性を広げたい。
その汎用性の高さを知ってもらいたい。
何よりもお客さんの選択範囲を広げ、より良いソリューションを提供したい…!
そんな渡邊社長の想いから実現した今回のメーカーコラボ。今後の動向からも目が離せない。