3Dエンジニアリング製品は日進月歩で、製造業の現場を劇的に変化させます。
中でもハンディタイプの非接触三次元測定機(3Dスキャナー)は利用部門が限られていましたが、昨今では品質管理部門等でも活用されるようになりました。
今回は、(タイの鍛造業界では)比較的早い段階で非接触3次元測定機を導入されたタイの日系鍛造業のお客様Yanagawa Techno Forge (Thailand) (以下、YTT)の事例をご紹介します。
鍛造とは、いわば刀の製作や鍛冶のように、金属を高温に熱してハンマーで叩くことにより成型する方法です。
YTTでは、叩いて圧力を加え成型する「ハンマー鍛造」を採用していますが、金型寿命が短く、鋳造の1/10~1/20に当たる約5,000回程度しか使用できません。
そのため、ほぼ毎日金型を交換する必要があります。
また、ハンマー鍛造の金型では偏心した型彫りを持つ場合、打撃の際にモーメントが発生し上型がズレるため、その分をあらかじめ見込んだ金型設計が必要など、金型部門の負荷が高い業種といえます。
3Dスキャナーの提案には、通常、お客様の納品先の利用機器、必要公差、製品形状を総合的に勘案しています。
YTTには2015年と2020年の2度、導入していただきました。
【経緯】
YTTの顧客である日系メーカーの要望もあり、三次元形状評価による品質管理の導入を決定。
【ハンディ3Dスキャナーの特長】
■持ち運びの利便性が良く、金型を動かさずにその場での測定が可能
■小型ながら充分な精度
■測定前の準備が不要
【導入後の成果】
■これまでできなかった起点、交点、角度などの測定が可能になり、三次元での形状確認に有用
■他の測定ツールでも困難だった狭い形状、R形状などの検査が可能
■鍛造金型の手作業による修正を3Dスキャンでデータ化してモデルに反映、履歴の保存が可能
【経緯】
新製品の生産開始にあたり、既存の三次元測定機(CMM)では測定不可能な形状があり、三次元形状評価のさらなる必要性が生じた。
既にハンディ3Dスキャナーの利便性を知っていたため、同じメーカーの新モデルの導入を決定。
【新型ハンディ3Dスキャナー導入後の成果】
■スキャン速度や解像度の進化により、作業効率が格段にアップ
■豊富な機能により、3Dスキャン後のデータ修正作業などの時間が大幅短縮
作業項目 | 従来の所要時間 | 導入後の所要時間 |
---|---|---|
測定前のスプレー吹付け | 15分 | 0分 (吹付け不要) |
自動表面生成 | 3時間 | 20分 |
自動穴埋め | 2時間 | 10分 |
ファイナライズ | 30分 | 5分 |
上記以外にも、コマンド機能の増加により各種作業時間が大幅に短縮した |
【お客様の声】
「私たちの製造する製品は複雑な形状が多く、測定に丸1日かかることもありました。ハンディ3Dスキャナーの導入後は、測定時間が驚くほど短くなり、浮いた時間をよりよい製品づくりのために使うことができます。当社はこれからも3D測定機を活用し、お客様にご満足していただける製品づくりを続けていきます。」