
新型コロナウイルスがビジネスや働き方に大きな影響を与えている2020年。
業務のペーパーレス化が叫ばれるようになって久しいが、今年こそ本格的に改革の必要性を感じている在タイ企業も多いのではないだろうか。
9月24日(木)にC.S.I.タイランド、(株)日立製作所、日立アジア(タイランド)3社による共同ウェビナーが開催された。テーマは「購買・経理業務のデジタル改革」。100名を優に超える参加申込数に、ニーズの高まりがうかがえた。
同ウェビナーでは、企業が抱える課題を洗い出し、解決の一端を担う取り組みについて説明された。ここではサムライアジア編集部の取材にプレゼンターらが直接、応えてくれた内容も含めて紹介する。
主催者が行なった事前アンケート調査によると、新型コロナウイルスの影響により「経費削減しなくてはならなくなった」という声が非常に多かった。続いて「仕事の進捗が見えづらくなった」「納品遅れ」「紙での印刷や署名ができなくなった」という課題があがり、働き方の変化と業務のデジタル化や経費削減の必要性が高まっていることがわかる。
中でも、多くのやりとりが紙ベースで行なわれてきた購買・経理業務をデジタル化(ペーパーレス化)することは、業務全体のデジタル化を進める鍵となるだろう。
タイ歳入局が2017年6月に規定案を公表した「タックス・インボイスの電子化(e-Tax Invoice)および領収書の電子化(e-Tax Receipt)の準備、提出、保管に関する規則」。
請求書・領収書を電子化することで様々なメリットがあるが、導入はあまり進んでいないのが現状だ。
e-Tax Invoiceの導入状況(2020年8月時点)
タイにある事業者数約80万社のうち、実際に導入しているのは600社弱(全体の0.1%未満)。
日系企業では大手企業約30社にとどまる。
e-Taxがタイで浸透していない原因
1.導入しなくとも罰則規定が無いので急ぐ必要が無い
2.コストメリットが見えづらい
3.関連企業が導入したら追従しようという姿勢
導入済みの企業のモチベーションは
1.タイ社会における模範的な役割を果たそう!
2.ペーパーレスに聖域なし。紙はミス・不正の根源だ!
3.自らのプラットフォームを形成したい!
C.S.I.の取り組み
政府が認定するサービスプロバイダーと提携し、クラウド型e-Tax Invoiceサービスを提供している。
e-Tax Invoice導入のメリットを訴求しつつ、日系企業のアライアンスによるe-Taxプラットフォームを構築し、導入企業同士のやり取りをより円滑に便利にするためのサポートを行なう。
企業のIT化は4つのステージに分類されるといわれる(下図参照)。在タイ日系企業の多くはステージ2~3にあたり、部門内や組織内でのIT化が見られるものの、社外を巻き込んだITによるコミュニケーションや取引はまだ進んでいない状態だ。
社外との連携では手作業・紙ベースが多いため様々な課題があった(下図参照)が、新型コロナウイルスの影響下でペーパーレス化の必要性やサプライチェーン寸断リスクが顕在化し、サプライヤーとの迅速なコミュニケーション·社外連携の効率化·IT化が急務になっている。
日立グループが提供するE-Procurementソリューション「TWX-21」
企業間活動(サプライチェーン連携)を行なう場を提供するクラウドサービス。会員は世界約30か国で約68,000社にのぼる。TWX-21 Web-EDI Globalサービスは、社外連携をIT化し、ステージ2~3の企業が抱える課題を解決する直接材購買業務支援サービス。
タイでは自動車部品メーカーや産業機器メーカー、音響機器メーカーなど5社(仕入先数約500社)が導入、東南アジアでは合計9社(仕入先数約1,000社)が導入している。
「TWX-21」を利用している業界
ユーザーの6割が製造業だが、卸、小売、サービス業、その他、社外との取引やコラボレーションが多い業界に幅広く利用されている。
他社サービスと比較したときの強み
製造業において豊富な業務知識・ノウハウを持っている日立が「TWX-21」を開発し、20年以上使用しているため、特に製造業向けに最適。それに加えて、様々な業界(約68,000社)のユーザーの声を吸い上げ、継続的なサービスエンハンスのサイクルを回し続けている。またタイ語によるサポートができることも現地では重要。
今後のタイでの展望
タイでは、一部のグローバル企業を除きEDI浸透率が低いことから、今回のようなWebセミナーを通じて広く周知を図り、EDIのパイオニア的な存在を目指す。
多くの企業が意識しつつも、コストメリットが見えづらい業務のペーパーレス化・デジタル化。
「一部の業務をデジタル化するのではなく、全体的にデジタル化していくことでより大きな改善効果を期待できる」とC.S.I.の大友氏。
「購買・経理業務のデジタル改革」は、ひとつの入り口であり、企業ごとに業務改善の可能性は様々なところに眠っているだろう。
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