ブラスト装置メーカーフジブラステック(タイランド)は2025年6月23日より、新オフィスおよび工場の稼働を開始した。
敷地面積は約1600平米と従来の約2倍に拡張。装置販売だけでなく、受託加工事業の拡大を見据えた移転だ。立地は各工業団地や空港からのアクセスが考慮され、新オフィスに対する訪問顧客からの評価は上々だという。
フジブラステックは近年、受託加工事業に注力している。昨年比で約2倍の成長を遂げ、2030年までには現行の3倍を目標に掲げる。設備投資を控える企業でも、ブラスト加工そのものは必要とされており、需要が常にあるということが背景にある。まず受託加工を利用し、その後投資タイミングに合わせて装置を購入する顧客も多い。
【受託加工用設備】 同社が強みとする特殊ブラスト処理、例えば摺動性や耐久性を高める「α処理」や粉体付着を抑える「Gemini処理」などは付加価値の高い技術として問い合わせが増えている。自動車関連の大型部品や金型向けの「シリウスZ」加工も含め、差別化されたソリューションを提供している。 フジブラステックの親会社である不二製作所は、70年以上の歴史を持つエアーブラスト専業メーカーだ。これまでに4万台以上の装置を設計・製造・販売し、その8割はオーダーメイド。400種類以上の研磨材を組み合わせ、目的に最適な加工を提供してきた。装置販売だけでなく受託加工の経験も豊富であり、その知見がタイ拠点にも活かされている。 タイ拠点は、将来的には東南アジアのハブ拠点化を目指す。ベトナム市場にも複数の装置を出荷しており、中国や欧米への展開も本社経由で進んでいるという。
▲受託加工ルーム
新工場では、受託加工用の機械として年内には計16台体制となる予定だ。
・手動機12台
・自動機2台
・大型部品対応の台車テーブル式SGK-DT型(近日導入予定)
・ロボット付き自動機(11月導入予定)
大型部品の加工需要増加に対応する布陣である。
▲受託加工設備
独自の技術ノウハウを活かし、メーカーで受託加工もできる唯一の存在
フジブラステックの大きな特徴は、メーカーでありながら受託加工も行う点である。ブラスト装置を製造販売しつつ、タイで自ら加工を請け負う企業は希少であり、そのノウハウの豊富さで顧客の信頼を集める。
また同社では、受託加工・装置メンテナンス・部品出荷といった業務をスタッフ全員が対応できる体制が整えられている。責任感を持って主体的に動くスタッフが増え、組織全体のレベルも向上している。
▲在庫機(一部)とレンタル用装置
不二製作所グループの技術基盤
▲豊富な研磨材・スペアパーツの在庫
エアーブラストは、圧縮空気で研磨材を吹き付け、表面を「削る」「磨く」「粗す」「取り除く」「鍛える」「打ち込む」など多彩な機能を発揮する。フジブラステックはその技術をタイ市場に広め、産業界の多様な課題に応える存在となっている。
▲フジブラステックタイランドのスタッフ一同
タイでブラスト加工の受託やブラスト装置の購入にご関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。