エレメント交換不要で、独自の水流コントロールで高精度に濾過(ろか)を行う、産業用フィルター「フィルスター」。
開発したのは、当社「株式会社industria(インダストリア)」です。
1991年、4人の職人が立ち上げた小さな部品加工メーカーが全ての始まりです。
環境に配慮した「フィルスター」は、その後ヒット商品となり自動車業界を中心に市場に浸透。
2014年にはタイにも現地法人を置き、営業展開しています。
今回はそのフィルスターの誕生秘話をご紹介します。
株式会社industriaは、埼玉県西部の入間市で「株式会社タカハシ」として誕生しました。
私の実父が創業者で、当時は発電所向け環境試験機の部品加工などを業としていました。
部品加工は、金属の切削時などに大量の微細な削りかすが発生します。付着した削りかすは洗浄して取り除かなくてはならず、その度に水を濾過する必要に迫られます。
一日に何度も目詰まりを起こすフィルター。繰り返しフィルターの掃除をしなければなりませんでした。
そこで取り組んだのが、目詰まりしないフィルターの開発。
試作に試作を重ね思いついたのが、「交換の手間がかかるエレメント式の濾過ではなく、水流で不純物を取り除く」というアイデアでした。
しかし、職人とはいえ流体力学の基礎知識すらない現場出身者たち。トライ&エラーを繰り返し、意見をぶつけ合いながら、ようやく1年後に完成したのが現在の「フィルスター」の原型モデルでした。
「フィルスター」を使用しはじめてからは、目詰まりもなくなり、仕事の効率が飛躍的に高まりました。
そのうち、「こんなに高性能だったら、他の工場でも需要があるのではないか」と製品化プランが浮上しました。
しかし、フィルスターはあくまで小さな町工場が作った一つの社内設備。ブランドも知名度もない。ならば、ブランド力のある企業に使ってもらうことが有効だと考えました。
当時も今も、日本でナンバーワンの製造業企業であるトヨタ自動車。世界最高水準の技術力やノウハウを持つトップ企業です。もし本当に納入が実現できれば、その影響力は計り知れない。あらゆるツテを頼って、トヨタの門を叩きました。今から12年ほど前のことです。
努力のかいあって、納入テストを受けられることになりました。同社の主要工場で、何度も繰返し試験に挑戦。しかし簡単にパスすることはできず、トヨタ工場に通い詰めて半年が経ったころ、ようやく合格の通知をもらいました。
ところが、最終的な採用には客観的なデータが必要でした。科学的な見地からの検証報告がないと、購買にかかる稟議が降りないというのです。
すぐに流体力学の権威者を探し、共同開発に応じてくれるという大学教授を見つけて、依頼することになりました。「フィルスター」が初めて学術的な裏付けを得る機会は、こうして生まれました。
検証報告には2年を要しました。
先方との折衝にねばり強く対応を続けましたが、なかなか最終決定がおりませんでした。
が、ようやく「フィルスター」の初めての実装テストが許され、テスト結果もトヨタの満足行くものだったようで、全ラインへの導入が始まりました。
「それは、小さな町工場から始まった。フィルター交換不要の『フィルスター』開発に賭けた職人たちの物語(下)」へつづく
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