

シティプラタイランドは、日本本社における長年の経験を活かし、タイにおいて高精度な樹脂加工を展開している。特に、マザックの複合加工機「INTEGREX」を活用したガラス入りPTFEの加工は、同社の高度なノウハウとマザックの技術力が融合した象徴的な事例だ。
本稿では、マザック(タイランド)の岩井GMとシティプラ(タイランド)の佐々木MDの対談を交えながら、複合加工機を活用したガラス入りPTFEの加工について深掘りしていく。
一般的に樹脂は金属と比べて柔らかく、わずかな温度やクランプの力で寸法が変化しやすい。シティプラタイランドでは、工場内を24〜25℃に保ち、温度変化による膨張やひずみを防いでいる。
「樹脂は環境条件に敏感で、わずかな温度差でも加工精度に影響するため、日常的に温度管理を徹底しています」(シティプラタイランド佐々木氏)。
さらに、治具の選定にも工夫がある。金属製では締め付けによって材料が変形するため、場合によっては樹脂製の治具を自作し、負荷を最小限に抑えている。穴あけ加工では、設計寸法よりわずかに大きく開けるなど、素材特性に応じた調整も欠かせない。こうした細やかな配慮が、樹脂加工における安定した品質を支えている。
PTFE(テフロン)は耐熱性・耐薬品性・低摩擦性を兼ね備えた高機能樹脂であり、医療機器や半導体装置など厳しい環境下で活用される。そこにガラス繊維を加えることで強度や剛性が高まり、より過酷な用途に対応可能となる。一方で、加工中に欠けやすいという課題も抱えている。
「ガラス入りPTFEは強度が高い反面、切削中の負荷で欠けてしまうリスクがあります。寸法精度を保ちつつ仕上げるには、適切な工具選定と工程管理が不可欠です」(シティプラタイランド佐々木氏) こうした難素材の加工を可能にするのが、マザックの複合加工機INTEGREXである。 「金属加工以上にデリケートな樹脂加工では、段取り替えの有無が品質を大きく左右します。INTEGREXなら一度の固定で多工程を完結できるため、精度確保と効率化を同時に実現できます」(マザックタイランド岩井氏) さらに、海外拠点であってもマザックの迅速なサポートを受けられる安心感がマザック機の導入を後押しした。 ▶【導入事例】マザックの複合加工機が他社にできない樹脂切削加工の要に|シティプラタイランド
▲加工前のガラス入りPTFE
マザックの複合加工機INTEGREXによる一貫加工の優位性
旋盤加工とミーリング加工を一度の段取りで連続して行えるため、精度の安定化と加工時間の短縮を両立できる。
▲旋盤加工(左)ミーリング加工(右)をINTEGREXでワンストップで行う
樹脂加工の難しさに挑む、タイでの2社の協働パートナーシップ
「マザックは海外でも一緒に歩んでくれる存在。だからこそ安心して難易度の高い案件に挑戦できます」(シティプラタイランド佐々木氏)
2社の連携は、ガラス入りPTFEをはじめ難削材加工や複雑加工といった市場のニーズに応えるための強力な基盤となっている。
「私たちは日本・海外問わず、お客様志向をポリシーとしています。複合加工機INTEGREXをはじめ、お客様の課題を解決するソリューションを提供し続けます」(マザックタイランド岩井氏)
樹脂加工の難しさに挑み、高精度かつ効率的なものづくりを実現するシティプラタイランド。
その裏には、マザックとの揺るぎないパートナーシップがある。両社の協働は、今後も特殊加工の分野において新たな可能性を切り拓いていくだろう。
▲左からマザックタイランド岩井GM、シティプラタイランド佐々木MD

City Pla (Thailand) Co.,Ltd.
佐々木 謙治 Kenji Sasaki
Managing Director

MAZAK (THAILAND) CO., LTD.
岩井 裕次郎 Yujiroh Iwai
General Manager
タイで複合加工機・5軸加工機や旋盤・マシニングセンタ等工作機械をお探しの方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。