“ぶつかる前に止まる”―従来の協働ロボットには無い新しい安全コンセプトを掲げたのが、NACHIのMZSシリーズです。従来の「ぶつかってから止まる」協働ロボットでは避けきれなかった接触事故のリスクに対し、複数のセンサによる制御で、衝突を未然に防ぎます。

東南アジアではロボットと人が近い距離で作業する現場が多く、安全性は長年の課題でした。展示会では、「本当にぶつからないのか?」「安全と高速が両立できるのは革新的」と大きな反響をいただき、現場の関心の高さを改めて実感しました。
本記事では、MZSシリーズが実現する“安全×生産性”の新基準についてご紹介します。
東南アジアでは、産業ロボットに安全柵の設置を義務づける法整備が十分ではなく、作業者とロボットが安全柵なしで働くケースが多くあります。その結果、ロボットハンドと人の接触事故が後を絶ちません。
MZSシリーズは、こうした現場の課題に対して次の仕組みで安全性を高めています。

•レーザスキャナが半径最大5,000mmを常時監視
•人や物体が近づくと自動的に協働モードへ切替、ロボットスピードを減速
•アーム内蔵センサが400~500mm以内の人の接近を検知し停止
•人がロボットから離れれば自動で動作に復帰し、ロボット停止後の再起動が不要
「ぶつかったら止まる」従来型の協働ロボットではなく、“ぶつかる前に止まる” ロボットです。
MZSシリーズの特長は安全だけではありません。
MZシリーズで培った高速・高精度技術をそのまま継承しています。
• 非協働時:最大2,500mm/sの高速動作
• 協働時:最大1,000mm/s
• 位置繰り返し精度:±0.02mm
また、人がエリア外に出れば自動的に高速運転に復帰するため、従来の協働ロボットのような手動リスタートが不要です。
これにより、「安全にした分、生産性が落ちる」というトレードオフを解消しました。
<MZSシリーズと従来の協働ロボットの違い>
| ロボットタイプ | 人がエリア外にいる場合 | 人がエリア内に入った場合 | 停止 | 再起動 | 生産性 |
| MZSシリーズ | 高速動作 | 低速動作 | ぶつかる前に止まる | 人がエリアから出れば稼働再開 | ◎ |
| 協働ロボット | 高速動作 | 低速動作 | ぶつかった後に止まる | 人手による再起動が必要 | △ |
MZSシリーズは、現場の“本音”に徹底的に向き合いながら開発を進めてきました。
• 5kg可搬・927mmリーチの使いやすいサイズ
• 洗浄可能な IP67構造
• 中空手首構造でケーブル干渉リスクを低減
• 電機・電子から食品まで幅広い業種に対応可能
• AMRへの搭載など物流分野への応用にも強み
特に東南アジアの現場で需要の高い、5kg可搬から発売を予定しており、タイ法人には実機デモ機もご用意しています。
協働ロボット市場は、人手不足とコスト増により今後さらに拡大していきます。しかし、その普及を後押しする最大の鍵は「作業者が安心できるロボットかどうか」だと考えています。
MZSシリーズは、
“安全柵がない環境で高速運転ができる”
“衝突の不安を限りなくゼロに近づける”
“人が離れれば自動復帰し、生産性を落とさない”
という、これまでにない価値を提供します。
MZSシリーズは、2025年12月より全世界同時に販売を開始しました。
今後は、5kgに加え、12kg・18kg・20kg・30kg可搬モデルも順次展開予定です。
