

▶︎ 過去記事:【タイ】廃液処理の今とこれから/SCマシネックス アジア × ロックエンジニアリング
曽利:2020年にお話を伺った際は、ロックエンジニアリングの減容装置として『Rock-D』と『Rock-E』の2機種がありましたが、新しく開発された『Rock-Es』とは、どういったものなのでしょうか?
岩田(敬称略):まず『Rock-D』は、超高濃度廃液の減容化に特化した真空蒸留乾燥装置です。独自のミスト除去技術で廃液を蒸留し、乾燥固化する事が可能です。
一方の『Rock-E』は、MVR※1ヒートポンプテクノロジーにより大流量の廃液を蒸発濃縮する装置です。蒸発器内で蒸発した水分(蒸気)をコンプレッサーで再圧縮し、熱源として再利用するため、ランニングコストが非常に少ないのが大きな特長です。
※1)Mechanical Vapor Recompression の略
『Rock-Es』は、その名のとおり『Rock-E』の派生機であり、『Rock-E』を小型化したシステムとなります。
お客様から「スチームを使いたくない」「廃液を固形化しなくてもいいので、小さい設備が欲しい」といった声をいただき、熱源にスチームを使用せず電気と水とエアーだけで動く『Rock-Es』を開発しました。
岩田:『Rock-Es』は、Separator tank 内で蒸発した100℃の水蒸気(Vapor)を特殊なブロワで圧縮する事で115℃まで温度を上昇させ、Main Heater における熱源として再利用する事ができます。
その為、蒸発に必要な蒸発潜熱を再利用する事ができ、非常に安価なランニングコストでの蒸留を実現しています。
曽利:SDGsや脱炭素といった世界的な動きによって、タイでも環境意識が高まってきましたが、貴社では環境対策をどのように考えていらっしゃいますか?
岩田:水分と油を多量に含んだ廃液の産廃処理においては、しばしば燃焼処理が用いられます。もちろんその処理の仮定で大量のCO2を排出しています。
今後は自社で直接排出しているCO2だけではなく、サプライチェーン全体で排出しているCO2も含めて排出量が決まってくる時代が来ると予想しています。
当社では、CO2 = コストと考えます。
企業のCO2対策は、株価にも影響してきますよね。
岩田:廃液処理設備にスチームを使うには、当設備に加えてボイラー設備も必要になります。加えてLPGなどの燃料貯蔵庫も必要になり、監督官庁への届け出も必要になります。
また、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を使用するため、CO2を多く排出しますので、スチームの使用量は極力抑える事が重要だと思っています。
そういった観点から、『Rock-Es』であれば圧倒的に低いCO2排出量で廃液の自社処理が可能になります。
『Rock-Es』は前述のようにスチームを使いませんし、付帯設備も必要としませんから、導入してすぐに稼働できるシンプルなシステムとなっています。
開発ではベーパーブロワーの小型化や、コンパクトかつシンプルなパッケージにまとめるのが難しかったり、泡立ちやポンプのキャビテーション対策で色々と工夫が必要でした。
とはいえ、市場からは想定を大きく上回る反響と受注があり自身でも驚いています。
曽利:難処理性排水処理が必要な工場にとって『Rock-Es』はコスト面でも環境対策でも導入メリットが多くあると感じました。今後はどういった展開をされるのでしょうか?
岩田:『Rock-Es』は、タイの自社工場で製作・組立する事を前提としたコンパクト設計にしています。
時代と逆行しているかもしれませんが、製造を内省化することによって、スタッフの経験値が上がりますし、品質や作業効率の向上、しいてはスタッフそれぞれが自分達で製作した製品に誇りを持てるようになると思っています。
『Rock-Es』の海外展開も考えています。
コンパクトな設備のため、コンテナに入れてタイから輸出することが可能です。
まずは、日本とベトナムがターゲットです。
曽利:タイでも環境意識が強くなっている中で、『ROCK-Es』は産廃処理費を削減できるだけでなくCO2(=コスト)も削減でき、更に低ランニングコストで運用が可能です。
『ROCK-Es』は これからの時代にマッチした製品なので、ぜひタイのお客様に紹介していきたいと思います。
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