

2025年9月16日、ソディックタイランド第一工場にて「型破りな未来 金型 × AMの可能性」と題した、金型製造における金属3Dプリンタの活用技術と事例についてのセミナーが開催された。
日本でソディックの3Dプリンターを活用して金型製造を行う日本精機を中心とした周辺機器を含む関連メーカーが協賛し、金属3Dプリンター活用におけるノウハウを共有する講演を行った。
ソディック主催の金属3Dプリンタを主題としたセミナーは海外で初めての開催であり、当日は約20社・39名もの在タイ日系企業の参加者が集まった。
日本精機での金型製造における3Dプリンタの成功事例を多数紹介した。
例)AM技術で実現可能なコンフォーマルクーリング入子(3D冷却水管)を導入した結果、従来の課題であった焼き付きを大幅に改善し、金型部品の寿命を10倍以上(4万ショット以上)に延ばすことで生産性を38%向上

標準のSKD61粉末に加え、熱伝導率が高い独自のHTC45材を使用し、造形欠陥を非破壊で解析する技術(メルトプールの3D可視化)によって、AM造形品の高い品質と信頼性の確保に努めている。
AM技術を金型設計の「標準仕様」とすべく、AM造形後のダウンスキン部の面粗度を改善する化学研磨技術や、冷却効果を新品時と同等に回復させる冷却水管の内部洗浄液・装置といったメンテナンス技術を開発中だ。
今後の課題としては、大型化への適用を掲げ、ソディックの大型装置「LPM450」を用いたウォータージャケットの大型造形やギガキャスト向け入子の開発に成功し、積層造形時に発生する残留応力測定により品質強化を図っている。
株式会社ソディック ソディックは、金属AMの核となる優位性として、金型における3D冷却水管による効果的な温調・冷却を実現できることや、部品製造における従来工法では不可能な形状や短納期を実現できる事例などを紹介した。
マシニングセンタ機能を統合したOPMシリーズや、造形に特化し低酸素環境での造形が可能なLPMシリーズを提供しており、特に金型造形の課題である反りやクラックを抑制する独自技術「SRT工法(反り抑制工法)」が強みである。

東南アジア圏における金属3Dプリンタの活用はまだまだ発展途上であり、製造業の中でもよりニッチな領域である3Dプリンタの活用事例やナレッジが公表される機会は希少だ。セミナー参加者からは「ここまで技術進歩していたのか」「想像よりも活用幅が広がっていて勉強になった」などのポジティブな評価が多かったという。
金属3Dプリンターは、他の装置や加工機械に比べて「使い方のノウハウ」や「どう使いこなすか」のナレッジが重要だ。
▲ソディック金属3Dプリンタでの加工部品サンプル
ソディックはメーカーとして機械の提供のみならず、そういった実際の現場での活用法を含めた提案やアドバイスを心掛けているという。日本での成功事例やノウハウを、海外の金型製造現場でも応用することで、ASEAN地域での3Dプリンター活用を促進し、業界全体のレベルアップを図ることを目指している。
▲左から、ソディック宮下氏・日本精機松原氏・バリューファインダー小柳氏
株式会社日本精機
松原 雅人 Masato Matsubara
常務取締役 COO
株式会社ソディック
宮下 健一朗 Kenichiro Miyashita
工作機械事業本部 機械営業統括部 MC・DDM営業部 部長
株式会社バリュー・ファインダー
⼩柳 宏⽂
代表取締役
タイで金属3Dプリンタをお求めの方、金型製造に関する課題をお持ちの方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。