

軽量化・コスト削減の観点から「樹脂化」が進んでいます。その中でも、摺動部品や精密部品において広く採用されているのが「POM(ポリアセタール)」です。
本記事では、POM樹脂の特性・用途・グレードの違い・選定ポイントについて解説します。
POMは、ポリオキシメチレン(Polyoxymethylene)を主成分とする熱可塑性樹脂で、「ポリアセタール」や「アセタール樹脂」とも呼ばれます。5大汎用エンプラのひとつであり、機械的特性・耐摩耗性・寸法安定性に優れた材質です。
高い剛性を備えつつ軽量で加工性にも優れているため、自動車部品や電気・電子機器、精密機械など幅広い産業で使用されています。

POMは、精密部品に適した特性を多く備えています。
• 低摩擦・自己潤滑性による優れた摺動性
• 高い剛性
• 優れた耐摩耗性・耐疲労性
• 低吸水率(約0.22%)による高い寸法安定性
• 耐熱温度:約90~100℃
• 切削加工性に優れる
これらの特性により、「繰り返し動作」「長期使用」「高精度」が求められる部品に適しています。
汎用エンジニアリングプラスチックの中でも一般的なMCナイロンとPOMの特性を比較してみました。
| 項目 | MCナイロン | POM |
| 強度・剛性 | 衝撃に強い | 剛性が高い |
| 摺動性 | 良好 | 非常に良好(低摩擦) |
| 耐摩耗性 | 高い | 高い |
| 吸水率 | 高い(寸法変化あり) | 低い(寸法安定) |
| 耐熱性 | 約100~120℃ | 約90~100℃ |
それぞれの特徴を踏まえると、以下のような使い分けが適しています。
摺動性・寸法安定性重視 → POM
耐衝撃・耐熱性重視 → MCナイロン
POMは、以下のような用途で広く使用されています。
• ギア、カム、軸受などの機構部品
• 電子・電気部品
• 半導体装置部品
• 食品加工機械・搬送設備

食品衛生規格(アメリカ:FDA・EU:10/2011・日本:食品衛生法)に適合するグレードもあり、食品設備分野でも活用されています。
POM樹脂には主に「ホモポリマー(POM-H)」と「コポリマー(POM-C)」の2種類があります。
■ POM-H(ホモポリマー)
単一モノマーで構成され、高結晶性を持ちます。
強度・剛性・耐摩耗性に優れ、精密機構部品に適しています。
■ POM-C(コポリマー)
複数モノマーで構成され、柔軟性や耐薬品性に優れます。
衝撃や薬品環境に強く、寸法安定性も良好です。
当社の経験では、コポリマー(POM-C)の方が入手性・コスト面で優位であり、多くの用途で採用されています。
用途に応じて、以下のような機能性グレードも選定可能です。
・摺動グレード(摩擦低減)
・導電グレード(静電気対策)
※注意点(設計時のポイント)※
POMは優れた材料ですが、以下の点には注意が必要です。
・難燃性:UL94-HB、燃えやすい性質があります。
・耐候性・耐紫外線性:高くはなく、屋外や直射日光下での長期使用には適していません。
そのため、屋外用途や難燃性が求められる用途では、他材料との比較検討が必要です。
当社では、POMを含む様々なエンジニアリングプラスチックを取り扱っております。
POMについては、コポリマー系を中心にタイ国内で在庫し、欧米・日本・韓国メーカー製材料を安定供給しています。
また、切削加工まで一貫対応が可能です。用途・精度・コストに応じた最適な材料選定をご提案いたします。