iQsanインサイドストーリー、iQsanが生まれるまで。

05/12/2017
勝又 光一 KOICHI KATSUMATA
セールスマネージャー
iQsan INSIDE STORY
iQsanが生まれるまで

事故防止に寄与してきた矢崎の計装機器
矢崎は1960年代から日本でタコグラフの製造、販売、サービスを展開してきました。当時、高度成長期を迎えていた日本では、自動車の保有率が上昇し続けていたのと同時に、猛スピードで走る「神風タクシー」や「神風トラック」が社会問題となっていました。
この状況を打破するために、日本政府はトラック、バス、タクシーにタコグラフの導入を義務化。速度違反や長時間労働の抑制をルール化し、交通状況の改善を図ってきた経緯があります。

日本からタイへ、計装機器メーカー矢崎の挑戦


矢崎の社是である「世界とともにある企業」、「社会から必要とされる企業」の元、日本で培った安全、省エネ、環境の向上技術を世界に広げていきたいという思いから、2009年頃より海外展開検討を進め、本格的に事業化に力を入れてきたのがタイでした。 タイは世界でも交通事故の多い国である事がWHOのデータからも証明されており、10万人あたりの交通事故死者数が36人と、世界のワースト2となっています。これは日本と比べると約8倍以上であり、その意味でタイで事業化することの意義は大きいとの思いがありました。

最初の取り組みとして、まず、日本からデジタルタコグラフを輸入。タイ語のソフトウェアを用意し、販売を開始しました。安全・省燃費を達成に向け提案を進める中で、タイの日系物流事業者様を中心に、事故件数の削減や燃費改善の大きな効果を出していただく事ができました。

しかし、より広くタイの事業者様にも受け入れていただくためには、多くの事業者様が利用するテレマティクスの技術を投入する事が重要でした。タイでは、「車が今どこにいるか」、「どんな運転をしているのか」、「不正行為をしていないか」といった情報を、リアルタイムで取得できることが重要視されます。 幸いなことに、矢崎はテレマティクスの技術を日本で確立していた為、その技術をタイ向けにアレンジし展開する事は、さほど難しいことではありません。 しかし、大がかりなデータサーバーの設置や、全国に展開するための広域なサービス網等、クリアしなければならない課題が多く、自社で一から準備するにはどうしても多くの時間を要してしまう。その為、タイ現地の強力なパートナーが必要であるという結論に至ったのです。


パートナーとの出会い、そして「iQsan」の誕生へ
我々がパートナー候補として最も関心を寄せていたのが、タイでNo.1のテレマティクスプロバイダーであるDTC ENTERPRISEさんです。彼らは独自で開発、サーバー運営、販売、オンサイトサービス、コールセンターを持ち、ワンストップのサービスを展開しています。もし彼らと組むことができれば、我々が日本で培った技術をタイで展開できると確信がありました。
初めてDTCと打ち合わせを行った際、我々が思い描く協業の考えをぶつけました。社長のトサポールさんは、矢崎が昔からタコグラフを展開し、安全に対する取り組みを進めていたことをよくご存知で、大変好意的に迎えていただきました。 お互いの強みを掛け合わせ、シナジーを持った事業展開をどのように進めるのか。何度も議論を重ねた結果、資本関係を持った戦略的パートナーとなったのです。

開発に携わった両社メンバー。苦楽を共にし、真のパートナーに

次のチャレンジは製品開発です。言葉も文化も違うエンジニア同士が、新製品を開発することは、並大抵のことではありません。一つ一つの仕様について、「何故そうしなければいけないのか?」、辞書を片手に英語でお互いの意見をぶつけ、議論を重ねてきました。
およそ1年にわたり、両社のエンジニアが知恵と情熱を注ぎ、ようやく2015年に新製品の完成に至ったのです。

こうして誕生した製品は、タイ日野様が販売するビクターに標準装着として導入いただく事になりました。商品名であるiQsan(イッキュウサン)はタイ日野販売の中村社長に名付け親になっていただきました。
お客様をサポートし、親しまれるシステムになってほしいという願いが込められた運行管理機器iQsanは、タイ全土に広く展開される事になったのです。

タイ陸上交通局は交通事故削減を目的として、2015年よりトラックやバスにテレマティクスの導入を義務化しました。iQsanがタイの交通事故を減らす一助になることを願い、今後より一層、サービスの向上に取り組んでいく所存です。

(左) iQSANを搭載した、タイ日野販売のトラック「Victor」ローンチングセレモニー。壇上でスピーチを行う、名付け親である中村社長
(右) iQsan第1号機の出荷式。ここから、交通事故削減の願いはタイ全土に展開されていくこととなった