お客様のあらゆる要求に応えることをモットーにしている長井技研タイランド。自動化や省力化設備、治具、部品などの設計・製作のほか、溶接などをタイで手掛けている。 アルミのTIG溶接に関して、タイはもちろんのこと、日本でも敬遠される傾向にあるという。 同社では、現地エンジニアの技術水準を維持するため、日本の本社から技術者を招き、現地スタッフへ指導を行っている。指導に際してはまず手本を示し、それを現地エンジニアに実践してもらう。先述のとおり、溶接に必要なのは理屈や知識ではない。口でいくら説明したからと言って、実際にできるものではなく、最も重要なのは「経験と感覚、そして創造性」である。 この指導には、アルミのTIG溶接も含まれる。
▲現場での加工指導の様子
今回は、溶接技術に対する同社の取り組みについて本社の熟練エンジニアの辻氏に話を伺った。
▲左からステンレス溶接、アルミ溶接、鉄溶接製品のサンプル
経験と感覚を要する溶接
その理由を、技術指導担当の辻氏はこう説明する。
「TIG溶接はその性質上、手作業による加減に左右される部分が圧倒的に多く、現場の環境も影響するため、マニュアルどおりには進みません。特にアルミは加工が難しく、経験や研ぎ澄まされた感覚を要します」
例えばステンレスは熱伝導が高く、すぐに高熱になることから、母材や接合材の変形・変質などを招きかねない。
一方、耐熱性に優れたアルミの場合、溶けたように見えていても実際には奥まで熱が通っていないことも多く、溶接材が入れられずに接合できないケースも多いという。特に、経験が少ない技術者に起こりがちなミスである。
TIG溶接だけに限らず、優れた溶接技術を身に付けるためには、マニュアルや知識だけではなく、場数を踏んで経験と感覚(センス)を身に付けることが重要と考えているという。
優れた溶接技術を維持するために日本から技術を伝承
そのため「失敗を通じて学び、技術を身に付けてもらう」というのが、担当である辻氏の理念だ。
▲溶接技術指導の様子
なぜ、需要が減りつつあるアルミのTIG溶接技術を今でも教えているのだろうか。
長井技研タイランドの長井社長は、「母数は少なくともニッチな技術を必要とする需要は、タイでも一定数必ずあるから」と力を込める。
お客様が必要としている時に、日本品質の加工技術を提供できる…長井社長が目指しているのは、そんな「タイにおける製造現場の駆け込み寺」のような存在である。
▲左から長井氏、研修生、辻氏
辻 幸生/Yukio Tsuji
1990年 株式会社長井技研 入社
約半世紀近く、製造加工の現場で活躍し、定期的にタイ法人の現場エンジニアに技術伝承を行っている。
タイで生産設備や治具の製作をご希望の方、溶接に関するお困りごと、その他製造現場のお困りごとをお持ちの方は、下記フォームよりお問い合わせください。