山久タイランドは、細物精密部品加工を得意とする東京都青梅市に工場を構える金鈴精工株式会社とタイ市場向け販売において協力体制を築いています。

理論に裏付けされた金鈴精工独自の加工技術で医療機器分野を開拓

金鈴精工は、いわゆる「細物」と呼ばれる小径部品の中でも、特に直径5Φ以下・3Φ以下のピンの切削加工を得意とし、安定した量産体制を確立している企業です。
オペレーターの技術力が必須の主軸移動型精密自動旋盤（スイス型CNC自動旋盤）を使い、弱電・電気部品の製造分野で実績を重ねてきました。時代の変化とともに受注する部品の領域は移り変わり、かつてはハードディスクや光ファイバー、デジタルカメラのレンズ周りの超精密部品を主に生産していましたが、現在は医療機器部品が主力。需要が伸び、市場が活況な分野に軸足を置いています。

同社が医療機器部品に着手したのは約10年前。カテーテルの手術に用いるガイドワイヤーをつかむ部品の量産化に成功しました。生産数は当初は月産1万2000個でしたが、着実に能力を高め、現在の生産能力は月間10万個に達しています。医療分野では、ピアスの穴をあけるピアッサーや腰椎穿刺（髄液を採取する検査）の際に使用する部品も受注しています。
Φ3以下の小径部品の切削加工には、太いワークを加工する技術とは異なる知識が求められます。細くなればなるほど精密な加工が難しくなるからです。同社はハードディスクや光ファイバー部品の量産化の過程で材料強度学や機械力学に裏付けされた技術を磨きあげ、小径部品の切削加工の大量生産を実現しました。

徹底した品質管理体制で高度な検査精度を実現

同社では、4人の技術者で23台の主軸移動型自動旋盤を稼働させています。少数精鋭による高度な技術力に加えて、徹底した品質管理体制による検査精度の高さも同社の特筆すべきアドバンテージでしょう。基本的に検査員がすべてのワークに目を通し、10倍の顕微鏡で目視検査を行っています。

挽き目のわずかな変化やバリ、計量を行った際の単位重量の変化などに検査員が違和感を感じたらすぐにオペレーターに伝え、いったん作業をストップ。オペレーターは違和感の解消を図ります。未病の状態で不良品の発見に努め、対策を施すことで圧倒的に不良品の発生率が下がるのです。

【CNC自動旋盤】
シチズンマシナリー製
CNC自動旋盤 K-12 Ⅶ型 × 8台（4台小径仕様）
L-20 Ⅶ型 × 2台（小径仕様）
L-20 Ⅷ型 × 1台（小径仕様）
L-20 Ⅹ型 × 2台（小径仕様）
L-12Ⅶ型 × 2台（１台小径仕様）
B-12 Ⅱ型 × 1台 / Ⅴ型 × 1台 / Ⅵ型 × 1台 / BL12 × 1台
ツガミ製
CNC自動旋盤 B012 × 1台
野村DS製
CNC自動旋盤 SN127 × 1台 / I-CAM 1台
トータルCNC主軸移動型自動旋盤 22台

【検査測定機器】
画像処理寸法測定機 KEYENCE IM-6000
真円度測定機 RONCOM41C
表面粗さ・輪郭形状測定機 SURFCOM 1900SD3-12
レーザーマイクロメーター KEYENCE LS-7600
ワンショット3D形状測定機 KEYENCE VR-5100
など

難易度の高い部品を量産化

タイにおいては、大手医療機器メーカー向け精密部品ですでに10年近い納入実績があり、研究開発型医療機器メーカーの主力製品であるガイドワイヤー用の部品の受注も見込まれています。医療機器用ポンプメーカーから依頼を受けた1.6Φパイプ加工の案件も見積もりを経て受注に向かっています。

タイはアジアにおける製造拠点として優れたポテンシャルを有しています。現地調達化の流れはありますが、他の会社では実現が不可能な難易度の高い部品の量産化を得意とする同社の技術はタイにおいても高く評価されています。
タイでの受注に関しては山久タイランドが責任を持って製品をデリバリー致します。

【取材協力】

金鈴精工 株式会社
鈴木 隆介　Takayuki Suzuki
代表取締役

タイで超細物の小径精密部品加工（小径ピン・ニードル・シャフト形状など）をお求めの方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。